参考文献その2:富士山 大自然への道案内

IMG_3202この新書は、富士山の世界文化遺産登録が決定した、今年の7月に発売されたもので、富士山ガイドブックになっています。

著者は、静岡大学教授で火山学者の小山真人氏。
Twitterの「うさ博士」としても有名で、伊豆ジオパークやジオガシへのアドバイスもされています。(@usa_hakase
これまでも日々静岡県民に地震への備えを啓蒙してくださっていましたが、富士山ブームでにわかに沸く静岡県民が、富士山についての正しい知識を得られるよう(?)、火山学者の立場で富士山について教えてくださっています。

私は生まれてこのかたほぼ静岡県民ですが、富士山に登ろうと思ったことはありません。(登山嫌い)
富士山は見て楽しむものだと思っています。
この本は、富士登山だけでなく、富士山という日本が世界に誇る美しい独立峰が、長い時間をかけて築いてきた周辺の様々な自然の営みについて、コースを設定して解説しています。

コースは、以下の7つ。それぞれ1日で充分巡れるんじゃないかな。
山頂登山コース以外は基本車でまわります。

・宝永噴火コース
・貞観噴火コース
・東麓コース(主に御殿場、山体崩壊)
・南東麓コース(三島周辺、溶岩と湧き水)
・西麓〜南西麓コース(富士・富士宮、大沢崩れ)
・北麓コース(山梨側)
・山頂登山コース

このうち南東麓コースは、私が住んでいる三島周辺の見所を紹介しています。
豊かな柿田川や白滝公園の湧き水や、三島駅前の溶岩についてなどです。
三島溶岩の柱状節理が見られるという裾野市の景ヶ島渓谷は知らなかったので、行ってみたいですね。

この本の面白いところは、観光的見所と、学術的なデータと、交通案内や休憩所などのお役立ち情報が全部一緒に書かれているところです。
分かりやすい地図はなくて、そこはGoogle mapで見るよろし、となっているのもあっさりしててよいです。
それに、次に噴火が起きたら、という読者が気になる情報もきちんと書いてあります。

文中では、富士山の噴火についての歴史的文献の引用なども積極的に行われていて、こうやって科学の側から文化側に批判の目を向けつつ融合するようなのって、やっぱ美意識のある科学者には適わんなあと、文化の人は思ってしまいます。

世界文化遺産として保全すべきものは、富士山の「何」なのか?
富士登山の観光客が増えて喜んでいてはいけないのです。
地元民として、考えを改めさせられる本でした。

(写真は、三島市街から見た冬の富士山です)

小山 真人
『富士山―大自然への道案内』 (岩波新書)
2013年7月発行

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